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動綱領を作っていく、ということです。
また、女性の国会議員の方々も具体的な立法計画を持っていて、このジェンダーを意識したフィリピン計画に盛り込まれています。
結語ですが、結局のところ北京会議の行動綱領とは、まさに変化のためのプラットフォーム(共通基盤:綱領)ということになります。

 

ここで、1つ私が第4回世界女性会議の準備に関わる中で経験したおもしろいエピソードをご紹介します。
1991年、まだニューヨークに移る前にウィーンに置かれていた女性の地位委員会が、第4回女性会議のタイトルとテーマを決めることになりました。当時、私は、この地位委員会の副議長で、テーマを決める委員会の議長を仰せつかりました。この時、当初、非常に支持を集めたタイトル、テーマの1つに、“世界の半分、力の半分(Half the World,Half the Power)というのがありました。
非常に短く、力強く、そして響きも良いと支持を集めたのですが、討議をした結果、より厳正な考え方の方が優勢となりました。すなわち、この表現ではちょっと、男性にとって脅威になってしまうのではないか、特にアジアの方からそのような意見が出ました。是非とも必要な男性の支持を失うことになってしまうのではないか、と指摘があったわけです。
2つ目に支持を得た案というのは“平等、開発と平和へのパートナーシップ”というものでした。これはよりやさしく、これが良いだろうと思われたのですが、1つ実際的な問題がありました。つまり、中国代表団のほうから翻訳上大きな問題が出てくると、つまり中国語では夫婦以外の男女間のパートナーシップ、これに当たる漢字がないという指摘があったわけです。男女間のパートナーシップと書くと、どうしてもこれは夫婦ということになるので、夫婦以外の男女間のパートナーシップはありえないということで、この案を採用することはできませんでした。
結局、満場一致で決まったのは“第4回世界女性会議、平等、開発、平和へ向けての行動”というタイトルです。ナイロビの目標を達成するうえで必要な行動をこのようなタイトルで強調することになったのです。北京以降の変化と行動綱領の実現を今振り返り、改めて気が付くことは、会議のタイトルとテーマに関する協議の中で出てきた3つのキーワードを組み合わせる必要があるということです。
まず1つ目のキーワードは、パワーです。この真なる女性のエンパワーメントが必要だと思います。パワーを持つということ、このことを恥ずかしがるべきではないと思います。また、男性としては、女性が正式のパワー(力・権力)を得ることに脅威を感じるべきではないと思います。

 

 

 

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